クラスター型レイアウトのメリット・デメリット
インターネット環境やタブレット端末が普及してきた今日、オフィスに出社しなくても、大半の作業が自宅やお気に入りのカフェなどでできる職種が増えています。
そんななか、オフィスに出社する最大の目的は社員同士のコミュニケーションであると位置づける経営者が多く、既存のレイアウト方法にこだわらず、海外の事例などを参考にしたレイアウトが注目を集めています。
たとえばデザイン関係などのクリエイターが所属するオフィスでは、個人の作業スペースを明確化し、デスクだけではなく収納なども自分なりにアレンジできる空間を社員一人一人に割り当て、そのうえで社員同士が情報交換しやすいレイアウトを導入しています。
1つのデスクと収納を直角に組み合わせて左右対称に配置するクラスター型レイアウトの導入もその一例です。
個人の作業スペースを自由にアレンジ
クラスターとは、ブドウの“房”を意味する言葉です。クラスター型レイアウトを上からみると、ちょうどブドウの房のように一人一人の作業スペースが連結されています。
デスクとデスクの間は収納やローパーテーションで区切り、前席の背中を見るようにデスクを同じ向きに並べ、隣り合う列はデスクが逆向きになるように配置します。
クラスター型レイアウトの最大のメリットは、個人の作業スペースを明確化しながらも、周囲とコミュニケーションがとりやすい点にあります。いったんデスクに向かえば個室に近い状況になりますし、自分なりに集中しやすい作業環境を整えることができます。隣の席からの声や音を完全に遮ることはできませんが、プライバシー性を保つことは可能です。
このような特徴から、クラスター型レイアウトは個人の作業を重視したデザイン部門を有するオフィスや設計事務所で採用される例が多くみられます。社員一人一人の自由な発想や思考を生む現場で選ばれるレイアウトです。
配線の処理スペースの問題
クラスター型レイアウトは、他のレイアウトに比べてスペース効率が悪いといわれています。通路は常にデスク側面のみとなり、オフィス空間を圧迫する要因になる場合があります。また、配線の処理が難しくなることもデメリットとして挙げられます。
社員一人一人のデスクにパソコンを置く場合は、それらのケーブルを一カ所にまとめることが難しくなりますので、あらかじめケーブル類の配線処理について検討しておく必要があります。オフィスの至るところからケーブルが露出されている状態や、ケーブルが整理されず山になっている様子は、オフィス全体の美観を損ねます。
足をひっかけた時に電源が抜けてしまい大切なデータを失ってしまう危険性もありますので、コンセントの数や距離を考慮した上で配置することが大切です。
このように、ケーブルの露出箇所が多くなるオフィスでは、二重床の導入による床下配線も検討されます。